DIATONE(ダイヤトーン)とは、三菱電機エンジニアリングのオーディオビジュアル商品のブランド名であり、日本屈指のオーディオメーカーです。古くから日本の音響機器を支えてきたせいか、DIATONEの歴史として発祥年月日は三菱のDIATONE紹介ページの沿革では昭和37年からその始まりが書かれていますが、他方Wikipediaの記事では昭和21年に発売したラジオに「DIATONE」の商号が使われたと紹介されており、始まりを何年に定義していいものか迷う所があります。しかしそこはオフィシャルサイトである三菱側が会社概要としてDIATONEの歴史を公表している方を定義付けるべきでしょう。
今がそうであるように、昔も「音質」にこだわる人は大勢いて、パナソニックやソニーなど名立たるメーカーに比肩し続けています。さらにDIATONE製品を好んで買うブランドファンも私の身近にもおりました。ちょうどその時期辺りに三菱グループが合同ブランドを設立し、それを期にDIATONEも路線変更となり、スピーカーに特化したオーディオメーカーになっていたことを後々知ることとなりました。
さらに悲運は続き、三菱グループの部門縮小化によってDIATONEの商号は一部を除いて消滅したことは今でもよく覚えています。なぜならちょうどその頃買ったクルマで高音質の音楽を楽しみたいと思いカーオーディオ機器を選ぶ際に、唯一商号が残されていたDIATONEのラインナップを見てじんわり懐かしい気持ちになりました。まだDIATONEが製品をリリースし続けていたのだと大いにはしゃぎました。
当時、富裕層の物というイメージの濃かったカーナビが、ようやく一般層にも普及し始めた頃で、車内音響すなわちカーオーディオも以前よりさらに競争が激しかった頃です。今でこそ、その戦乱を制したパイオニアがカーナビもカーオーディオも一人勝ち状態ですが、DIATONEはオーディオメーカーとしてほそぼそとスピーカー作りを続けていました。
しかしそのまま没落することなくフェラーリやランボルギーニが高級スーパーカー専門の自動車会社であるように、DIATONEはオーディオ業界での足場を明確に示す為、高級ブランド化を目指し始めたのが10年ほど前。受注生産方式での商品展開に限定して真の「音質マニア」のための物作りというクローズドなブランド展開へと変わっていました。一見迷走とも思えた所から直ぐに路線を戻し、家電への参入やカーナビへの参入も果たしている。あまり広範囲に手を広げると失敗するイメージが個人的にあるが、DIATONEの歴史はこれからも刻み続けていって欲しい。