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2016年6月10日
B&W CM7 の特徴
■B&Wエントリーマシン『CM7』
ハイエンドスピーカー専門メーカーとして、今やその地位を揺るぎないものとした英国のB&W(Bowers&Wilkins)ですが、元々が、「ただの町の電器屋さん」だったことは、あまり知られていません。少々、装飾するなら、「オーディオ好きな」電気屋さんでした。その店名が『Bowers&Wilkins』。
オーディオ好きな電気屋さんは、お客の希望に応じて、オーダーメイドでスピーカーなどを作っていましたが、そのスピーカーを大変気に入っていた顧客のひとりが自らの遺産をあげたことがB&Wの創業資金になった、というのですから。なんとも情のあふれる話です。
創業は1966年で、オーディオメーカーとしては必ずしも早い方ではありません。
創業から2年後の1968年、DM1とDM3を発売します。DMは、Domestic Monitorの略で、昨今は悪い意味にばかり使われる『Domestic』ですが、意味は「家庭内」です。聞き慣れた言葉で言うなら「ホームオーディオ」といったところでしょうか。
1990年代に入り、オーディオ界にホームシアターの潮流が訪れると、B&WはDMシリーズから、いわばAV対応のトールボーイのCDMシリーズを作り出して分岐。さらにその傾向が強くなった2000年代には、CMシリーズへとバトンを渡しました。
この時に誕生した大ヒットしたのが、その代表的なモデルCM7です。
もともとDMシリーズの頃から、トールボーイスタイルはB&Wの得意とするところで、CM7の元祖的モデルとも言えるDM7は、一体型のスタンド付きで高さが90cmとCM7とほぼ同等(CM7は91cm)でした。
中間で、名機CDM7を挟みますが、共通して3ウェイバスレフ形、ケブラーコーンスコーカーを備えている点もまったく同じ。つまり、DM7発売の1977年時点で、CM7の基本設計は完成していた、ということです。
もちろん、DM7の誕生した70年代には、「ホームシアター」などというものは単語すらありませんでした。90cmという高さは、リスナーに対するスピーカー(特にツィーター)の位置として最も適していたからで、実際、マニュアルには、スピーカーの配置とリスニングする位置の指定が、事細かく書いてあります。当然ながら、リスナーは椅子に座っていることを想定しています。言ってみれば、「ここに椅子を置いて座って聞くのがベスト」という、リスニングポジションの指定が書いてあったわけです。それが“ホームシアター向き”であったことは、単なる偶然であるかも知れませんが。
DM7は、その後、CDM7〜CSM7SE、CDM7NTと進化を遂げて行きますが、2001年に入れ替わるようにCMシリーズが登場。型番でも分かるように、このモデルでは、ターゲットは完全にホームシアターになっています。
大きく変わったのは、そのデザインで、CM7では明らかにモニターディスプレイを意識したもので、良く言えば「万人ウケ」する非常に洗練されたデザインになりました。
その分、CDMシリーズまでの1枚無垢の板だったキャビネットは、化粧板を貼ったものとなってしまいましたが、販売価格は148,000円と(B&Wとしては)かなりリーズナブルで、ちょっとがんばれば名機CDM7SEとほぼ同等の音が手に入るとあって、現代の中古市場でも、たいへん人気のあるスピーカーです。
なにしろ、スピーカーユニット自体は、CDM7SEと同等。ツィーターにはノーティラスチューブが使われていて、ケブラーコーンのスコーカー、FSTドライバーを用いており、上位機との遜色はほとんどありません。
B&Wエントリー用としては、最適の1本と言えるでしょう。
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